綴り

試行錯誤の繰り返し

作成者: 松本 友香里|2022年06月05日

こんにちは。

夏空広がっております。田植えが終わったばかりの田んぼのことを「早苗田(さなえだ)」と言います。早苗田には青い小さな稲とその中を縫うようにして映る空の色、そんな美しい青のコントラストを見ることができます。同じ場所でもその季節ごとに違う美しい風景がありますよね。春夏秋冬のその季節ならではの美しさを日々探していきたいものです。

 

毎年違う課題がある

数年前に近江庭園で作庭させて頂いたお庭に伺いました。こちらのお庭は定期的にメンテナンスや植替えなどを行い、常にお施主様とお話しながらお庭づくりを継続しています。年々大きくなる木々、増える日陰、お家の中からの眺め、ずっと過ごす場所から見えるお庭だからこそ常に色々な課題が見えてきます。

前回場所を移動した下草の中で急に花が付いたものや付かなかったもの。植物も人間同様同じ個体はありません。だからこそお庭はつくってから育てていくのが難しいのです。それぞれの個体に性格があり、適した環境を見極める際には慎重にならなければなりません。だからお庭づくりには終わりが無く、常に試行錯誤の連続です。お施主様とお庭と長く一緒に伴走できるようなお庭づくりをしたいという近江庭園の思いはそういったところから生まれます。

今回もお施主様の相談に乗りながら、色々考え抜いて新しい植物を植えてみたり場所を変えてみたりとさまざまな試みをしました。

少しずつ手を加えて納得いくまでお庭と付き合っていくには長い年月がかかることもあります。ですが、ひとつずつ課題を解決してより理想の空間に近づけていく、育てていくお庭づくりが何よりも自然を扱うものとしては大切な姿勢であると思います。作った時が一番美しいお庭ではなく、こちらのお庭のように常に試行錯誤をしながら育てるお庭づくりを目指します。

雑草と呼ばれるドクダミも活ければ可愛い野の花です。そんな身近な自然のこともお庭が気づかせてくれるようです。