綴り

美しい歴史を繋ぐ

作成者: 松本 友香里|2023年02月02日

こんにちは。

2023年の立春は明日。手足凍り付く寒さですが、暦の上では冬が終わり既に春の始まりです。寒さすらもう余寒とされ冬の余りを過ごしていく季節です。まだまだ氷の張るような寒さですが、暦は「東風解凍(はるかぜこおりをとく)」という暦です。早春に吹く東の風が氷を解かすことを意味します。風もまだ冷たい季節ですが、少しずつ暖かくなってくるのを待ちましょう。

 

参道の復旧工事

先日から始まったこちらの工事。大津市にあるお寺の参道と母屋の玄関周りの改修工事を行っております。

まずは既存の石畳の解体・復旧工事から。昔の板石なのでとても分厚く大きいです。寸法もバラバラで石に番号を振って元通り復旧できるようにしました。今よりも切削技術が発達していなかったので、薄く仕上げるのが難しかったのでしょう、厚いものでは20㎝程度ありました。ユンボのお陰で問題無く石を起こすことができましたが、これをすべて手作業でやっていたかと思うと昔の職人たちのパワーには凄まじいものがありますね。

文明の利器で沢山の機械や便利な道具が溢れている世の中で、大変な作業は便利なものの手を借りることが出来るようになりました。ですが、人が仕上げなければならないものは今でもきちんと存在しているので、だからこそ人の手によるお庭づくりには味があるんだなと感じます。

目地を一生懸命詰めてくれている参道も綺麗に復旧ができました。目地が割れ、下地のコンクリートなどが無かったのでがたがたとしていたのですが、今回は下地をしっかり打って、目地の間に草が生えないようにしました。ご住職の話によるとこの参道は400年くらい前の江戸時代から形を変えずそのままだと思いますとのことで、400年前の切石を触っていたんだなと思うと驚きです。この分厚さは歴史の厚みだなと思います。なんでも本堂の建立よりもこの参道は古いのだそうです。目地は今までも少しずつ補修していたと思いますが、脈々と続くお寺の歴史の一部に携われていると思い感動しました。

母屋の方は参道を新しくしてバリアフリーを考えた改修をしていきますが、今までよりももっと美しくなったと感じて頂けるように頑張ってお庭づくりをしていきたいと思います。