綴り

繕って修める

作成者: 松本 友香里|2022年01月16日

こんにちは。

先日は大津にも再び大雪が降りました。ふかふかの粉雪でしたので、葉に降った雪を吹くとサラサラと落ちていきました。深く積もった雪のことを「深雪(みゆき)」と言いますが、み雪というのは元々雪の美称だったようです。深雪の字からも連想できるのは雪の降り積もった静かで真っ白な世界です。足元に気を付けて、周りを見回してみようと思います。

 

御簾垣の修繕

毎年お庭の剪定に入っているお客様からのご依頼で、いま既存にある御簾垣の修繕をいたしました。樹脂製の素材のもので作られていたものでしたので、汚れを取って再利用します。化粧の竹は本物の青竹を利用します。

この日も雪がちらつき指先が悴むなか竹を洗っていきます。竹を洗うことによってより美しい青竹になり、樹脂製の竹も汚れを落とすだけで綺麗な状態に生まれ変わりました。

この化粧用の竹は半分に割る加工をしていきます。竹の反りを見て、割る方向を丁寧に見定めていきます。竹は縦に繊維が走っているため、鉈を入れ下におろしていくと最後まで気持ちよく二つに分かれて割れていきます。

綺麗な半割にできるところを見定めるのが難しいのですが、先輩の職人と一緒に後輩の職人が見定め方の指南を受け竹割に挑戦中です。

「竹を割ったような性格だ」などと比喩されるように、竹は本当にさっぱりとまっすぐに割れるので綺麗に鉈が入っていく様子はとても気持ちの良いものです。最初の鉈の打ち込みが少々力が要りますが、あとはトントンと叩くと割れていきます。新年、なんとも小気味良い作業を見ることができました。

無事に美しい御簾垣ができましたね。今回はすべて新しい素材を使わずに、まだ使えるものは再利用して御簾垣を修繕しました。修繕の「繕う」という字は「糸で善くする」と書きます。元の美しい状態まで戻していくことを「修繕」というそうです。私たちは文字通り糸で繕ったわけではないですが、御簾垣を善い状態に戻すために、素材も再利用し細かな技術で細部まで元の御簾垣を再現しています。

繕って修める、それをすることは実は中々難しい。同じ技術や素材を持っていなければ、それは元通りにならないからです。どんな現場でも、そのお庭/技術を再現することで私たちの技術も高まっていくのだと思います。素晴らしい庭園の技術が消えてゆかないように、私たちはお庭の「修繕」にも力を入れていかなければなりませんね。