綴り

特別な空間への演出

作成者: 松本 友香里|2022年05月22日

こんにちは。

暖かくなったり、少し肌寒くなったり気温の変化も忙しない季節ですね。今年はエゴノキの花が少し少ないような気がしますが今年も無事に咲いているので、季節がきちんと巡っているのを感じます。エゴノキは花が形を保ったまま地面に落ちてくるので五枚の花弁がまるで星が落ちているように見えます。「エゴノキ」という名前とは裏腹に、花は非常に可愛らしいですね。ですが、エゴノキの実は味が不味く「えぐい」のでエゴノキと呼ばれるようになりました。可愛らしい面と毒のある面、両方を持った樹木のようです。

 

店舗前のお庭のお手入れへ

昨年の秋頃に施工させて頂いたお庭の軽整備にお伺いしました。 

苔がかなり定着してきて緑の色が濃くなり、作庭当初よりも美しくなっていました。持って行った補修用の苔の方が真新しい感じになってしまうほどで、お客様がこまめに散水などの日常のお手入れをしてくださっているのがよく分かります。元々ある木陰のおかげか、苔の生育環境としては良い環境なのかもしれません。

半日陰を好む山野草たちもひっそりと咲いており、楚々としてしっとりとした空気があります。もっと植物たちに年季が入ってくるとより良い雰囲気が生まれてくるだろうなと楽しみにしております。元々このお庭がここに長い間存在していたような深みが増してくることを思いながらお手入れをしていきました。

なんと言ってもこちらのお庭は店舗前の石積みが美しいです。堂々としていて重厚感を引き立てます。その後ろの店舗へと続く動線は斜めに構えられており、大きな自然石の石畳の上を歩くと古御影の階段、三和土仕上げのエントランスが広がります。石積みが目の前にあることで通り掛けの人の目を惹くアクセントになると共に、「なんのお店なんだろう?」と興味をそそられ奥行のある演出がされています。店舗前の限られた空間でお店の雰囲気を表現することは非常に難しいのですが、時にはこうした思い切った石積みをしてみることも店舗の雰囲気をつくるためには重要かもしれませんね。この石積みも次第に苔むし、年月を経た風格が出てくることでしょう。

今回お手入れに入らせて頂いたこちらのお店は、近江牛や滋賀の素材にこだわった焼肉屋さんで、お料理はもちろん、内装などあらゆる素材、細部が丁寧につくられたお店です。滋賀県の草津駅のすぐそば、石積みが突然現れましたらそれがお店の目印です。お近くの方は是非いらしてみてください。

近江牛焼肉 百々一