綴り

森をつくって管理する

作成者: 松本 友香里|2023年09月18日

こんにちは。

ウメモドキの実が次第に赤く色づいてきました。ウメモドキの実は小鳥が好んで食べるので中庭に小さな来客があり、事務所の風景を楽しいものにしてくれます。ウメモドキの実は落葉したあとも実が残っているので、冬の風情も持ち合わせた万能な雑木です。隣のチシオモミジもまたじっくりと色付いてきました。春モミジと言われるチシオモミジは秋にもう一度紅葉をしますので、年に二回紅葉が楽しめるモミジです。中庭の限られた空間の中でもさまざまな四季の変化があり、常に時間が流れていることを意識してしまいますね。

 

深い森の雰囲気になって

こちらは3年前に施工させて頂いたとある商業施設の庭園です。ウッドチップで敷かれた小径と少し薄暗い森のような空間が京都市内とは思えないような場所に仕上がっています。日の当たるところの低木は夏の名残を惜しむように最後の花を咲かせています。

この場所をつくった当初は、周囲の環境を施設内から見えないようにするため/施設のコンセプトが森のため、にこの場所にたくさんの木を植えそのご要望にお応えしようと試行錯誤でこの場所をつくりました。数年管理をしていくと、生長する樹木もあれば、他の木の生長に負け淘汰されていく木もあり、本当の森のように競争しながら樹木が生きているのがよく分かりました。

下草に関しても、環境に適したものはどんどん成長し負けていくものは範囲が狭くなっていき、植物たちの中で静かな戦いが繰り広げられているのがよく分かります。植栽したものを全部生かす方法もあればこのように時間と共に空間が馴染んでいくのに従って消えていってしまうものがあるというのは、学びもありますが自然を扱っているものとして複雑な気持ちです。私たちが新たに提供した環境が合わなくて申し訳ないという気持ちになりつつ、自然の姿のそのままを見せてもらっていることにも感慨深い情が湧きます。

自然淘汰の話は明治神宮の人工の森(杜)の中にもあり、面白いので是非読んでみてください。→ 

今度こちらは私たちが管理に入り、剪定や枯れている下草・樹木の様子を見ながら施設の空間として適切な作業ができるようにしていく予定です。人工の森だからこそ、自然の流れと人の手が介在する部分のバランスをしっかりと保ってこの小さな空間の森を大切にしていけたらと思います。

森のはじっこには実はこちらの着せ替えの終わった妖精を見ることもできます。みなさま是非探してみてくださいね。