綴り

桂離宮へ 3

作成者: 松本 友香里|2022年04月24日

こんにちは。

だんだんと暑い日も増えてきましたね。冬服は仕舞って、上着の要らない日も多くなりました。もうすぐ世間は大型連休GWです。皆様はどのように過ごされますか?暖かい日も多いのでお出かけには良い季節ですよね。外の空気は今が一番穏やかです。感染症対策をして、この穏やかな季節の休暇をゆったりと過ごしましょう。

 

桂離宮へ 最後に

桂離宮のことを書くのは今回で3回目になりました。過去2回の間にも書ききれていないことが沢山あるのですが、自分の目で見て頂かないと分からないことも多く、つらつらとこのブログで長く書くよりも私のブログを読んで「見てみたい」と思ってくださる方が居れば良いなという思いで書きます。

笑意軒(しょういけん)は今までの建築よりも更に斬新な意匠に感嘆します。6つの丸窓はそれぞれ葦の模様も異なり、これは一年のうちの月の姿を表現したものだそうです。窓から見える景色は庭園では無く、なんと庭園の外。田んぼが広がっており、田植えの風景や稲穂の輝きを景色として楽しんでいたそうです。窓の下の腰貼りは松琴亭のような市松模様の中に一閃の稲妻が走っているようなデザインです。他にも襖の中に矢が仕込まれていたり、炎のような襖絵が施されていたりと、かなり攻めたデザインが見られます。

笑意軒の前には草の延段、無造作のように見える飛石、かなり自由な発想で建築も庭園も造られています。伸びやかな表現が今まで見てきた他の桂離宮の建築とは少し異なった印象を与えています。

船着き場に置いてある三光灯籠もにくい演出で、これは笑意軒の形を模しているそうです。

古書院、中書院の飛石たち、杮葺きの屋根、すべての意匠が細かく精緻です。月波楼(げっぱろう)から見えるモミジ山という築山とその手前に控えるカシの生垣は不思議な風景を生み出し、他方の窓から見える池の景色は「月波」という言葉にぴったりの風景を思い起こさせます。観月のための場所であることから、昔はさぞ綺麗な月が見えたのだと思います。

真の延段も見ることができました。草の延段と比較するとやはり堅く神妙な雰囲気があります。真行草の違う表情が、庭園全体の用途に合わせて使い分けられそれが更に庭の味わいや奥行を出します。

ここまで桂離宮を参観して感じたことを書きましたが、これを読んだどなたかが少しでも日本の庭園や建築、文化に興味を持ってくれるきっかけになれば嬉しいです。

日本の庭園の文化や建築は歴史が長く、私たちが今しているお庭づくりはその歴史のほんの一端でしかありません。もしかしたらお庭づくりの歴史の一部になれているのかどうかもわかりません。私たちの世代の造園に携わる人たちが、もっと沢山の歴史を吸収して今や未来に繋がる庭園をつくれるように日々学びのある毎日でありたいと思います。

桂離宮探訪のブログは本日をもって終わりです。まだ書ききれていないこともありますが、何かの機会にまた書ければ良いなと思います。次からは日常の仕事のブログに戻ります!それでは。