綴り

木の葉時雨

作成者: 松本 友香里|2022年11月27日

こんにちは。

今年は秋が長いような気がします。急激に寒くなったというよりは、徐々に冬に近づいて、ゆっくりと秋の情景も楽しみながら冬支度が出来ている気がします。近江庭園の縁側にはお昼前頃から綺麗な日が差してきます。ガラスを透けて見る光の重なりは今の季節にしか見られない美しい瞬間です。

 

近江庭園の中庭では

私のブログにもよく登場する近江庭園の中庭ですが、今こちらのお庭は落ち葉の海になっています。

このように今は落ち葉の絨毯となっています。まだもう少し落ちるので、ほとんど落ち切ってからまとめて掃除する予定です。

新しい事務所になってからは本当に物音が静かで、自分のキーを叩く音と鳥の声しかしません。しかしこの季節には、木の枝が揺れるカサカサとした音や落葉の落ちるハラハラとした音も聞こえてきます。晩秋の音というのでしょうか。それが聞こえると冬の訪れを感じて、冬が好きな私は少し心が弾みます。

こういった落ち葉の風情を「木の葉時雨」と呼びます。日本人は「〇〇時雨」という言葉を好み、季節の音や情景をさまざまな時雨に例えています。「蝉時雨」「青時雨」「小夜時雨」などなど、美しい言葉が沢山ありますね。その中でこの季節の落ち葉が落ちる様子も「木の葉時雨」として例えられ秋の風情として楽しまれてきました。

落ち葉の掃除は大変ですが、地面もカラフルな木の葉模様です。その景色を楽しんだ後、こもりがちな今の季節の運動がてらに落ち葉の掃除をするのが良いかもしれませんね。落ち葉の降る衣のことも昔の人は「木の葉衣」と呼んだそうです。今の季節の職人は剪定作業のあと、その「木の葉衣」を着て帰ってくることがあります。

そういった景色は今だけですので、冬の白い世界の前の色彩をもう少し楽しんでおこうと思います。