綴り

朔風に吹かれ

作成者: 松本 友香里|2024年11月28日

こんにちは。

会社の縁側に落ちる木漏れ日がとても柔らかくなってきた今日この頃です。この縁側には午後になると良い光が差し込みます。冬場の低い位置から差す日の光は、夏と違って白くて柔らかい印象があり、冬の寒い日でもこの木漏れ日に暖かさを感じます。冬は思わず寒さで肩を竦めて縮こまってしまいがちですが、家や室内に入った時の暖かさと安心感といったら格別ですよね。

 

庭に舞う木の葉

近江庭園の庭の木々がだんだんと色付いてきました。日の当たりやすい上の方から徐々に色が落ちてきて、グラデーションになっているのもとても美しいですね。紅い葉と書いて紅葉ですが、実際の葉っぱの色は赤色だけにとどまらず橙、黄色とさまざまです。自然に存在する色の多様さには本当に驚かされます。

現在の暦は「朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)」という季節です。北風が木の葉を払っていく寒い季節という意味ですが、現在の近江庭園の庭がまさにその状態になっています。冷えた北風に落ち葉が舞うさまは少し寂しい情景のように感じるかもしれませんが、昔の人はかさかさと落ち葉が落ちる様子を「木の葉時雨」と呼びその情景を楽しんでいました。色とりどりの葉が風に踊る様子は、確かにとても美しく、娯楽が今よりもうんと少なかった人々にとっては外の景色を眺めて過ごす時間がとても有意義なものだったかもしれません。寒く厳しい季節にも楽しみを見つける先人の暮らしに現代に暮らす私たちも見習うべきところが沢山あると感じます。

紅葉や落ち葉絨毯を楽しめるのは今の季節だけですので、綺麗なうちは存分に楽しもうと思うのですが、そうは思いつつもそのあとの掃除のことを考えるとまだまだ葉っぱが残っている木々を見て溜息が出そうな気もしてしまいます。落ち葉掃除もこの季節の大切な仕事、と割り切ってこの面倒臭さも風情と感じられるよう心にゆとりを持てれば素敵だなと思います。