綴り

京都ならではの旗竿地

作成者: 松本 友香里|2023年05月18日

こんにちは。

お庭に注ぐ光が透けた緑色になってきました。健やかなお庭の色ですね。カルミアは今年も満開でとても見ごたえのある姿になりました。近江庭園のお庭のカルミアはとても大きく2mをゆうに超えていますので、上を見上げると白い大きな花が降り落ちてきそうな感覚になります。青、緑、白の配色のバランスが最高ですね。モミジもまだまだ新緑が美しいです。

 

奥まった形の造園工事

先日から始まったのは京都のとある古民家の中のお庭です。この古民家を改修してゆくゆくは事業を展開していく計画があり、お施主様のこだわりと、古民家の良さをそのまま残した造園計画がされています。今回私たは主に施工を行い、お施主さんやデザインを担当してくださっている方たちと二人三脚で進んでいます。

以前暮らしていた方の名残が残るお庭の風景です。長年手が入っていなかったため、常緑樹で構成されたお庭は鬱蒼として暗く雑草だらけになっており、まずお庭全体の剪定と雑草を出来る限り取るところから作業が始まりました。きちんと剪定をし、お庭全体に日が差し込むようになると一気に敷地内が明るくなり建物の印象も変わって見えます。建物も綺麗に改修しているので、周囲が明るくなりより美しい空間になりそうです。

しっかり剪定するとアカマツや立派なクロマツがあり、お庭全体に石が縁どられ以前住んでいた方がどんなお庭を日々眺めていたのかその痕跡を知ることができました。人よりも長生きする植物だからこそ、昔の生活の跡を辿ることができるのですね。

こちらの現場で本当に苦労しているのが、地形が独特な旗竿地だということです。車一台がやっと入るような狭い路地が長く続き建物は敷地のほぼギリギリに位置しているので奥庭までの材料の搬入がとても大変です。剪定枝の搬出や残土の搬出もとても苦労していました。尚且つ、こちらの路地はこの家を囲む他の方々の勝手口などが境界を越えて面しており、近隣の方への配慮がより一層大切になってきます。今では境界が曖昧だなんて中々無いのですが、昔からここに住む人たちにとってはこの距離感が普通だったのかもしれません。

要らないガラの搬出もとても気を使いながらの作業だったと思いますがスタッフたちの頑張りによりなんとか作業は進んでいます。こちらの現場はさまざまな点で工夫していかなければならないことも多いですが、一生懸命進めてくれていますので皆様もどうなっていくのか経過を楽しみにしていてください。